男の涙
【ワシントン=犬塚陽介】トヨタ自動車の豊田章男社長は公聴会を終えた24日夜、ワシントン市内で米国トヨタの販売店や工場従業員とタウンミーティングを開いた。緊張から解放されたためか、豊田社長は「公聴会でも私は一人じゃなかった。あなた方やあなた方の米国中の同僚と一緒だった」と話すと絶句して涙ぐんだ。との新聞報道。
テレビでも放映されていたが
顔をくしゃくしゃにして涙する社長の様子をアメリカ人の従業員達が 驚きの表情で見つめていた。とナレーションが流れた。
折も折、BS2で「COOL JAPN 発掘かっこいいニッポン」
という再放送の番組を見た。
外国人が日本の文化について様々な意見を交換するのだが
日本の男性はどうして公衆の面前で平気で涙を流すのか
人前で泣くなんて信じられない!
とイタリア人男性。
ロシア人男性も同様意見。
男たるもの涙を見せてはならない!
ましていわんや企業のトップの人間が
従業員の前で泣く事は許されるものではない。
と言ったのはアメリカ人女性。
この番組は再放送なので時期的に言って豊田社長の話ではない。
有名なところでは山一證券の社長による号泣会見。
これは全世界に配信されている。
しかし、この会見、涙と関係なく
従業員をかばい自己の責任を公にしたということで
ある意味海外でも評価された、と聞いた事がある。
公的資金をしっかり受けながら
億と言う単位の莫大な給与を
懐に入れていたある国の企業トップ。
それに比べれば、人間らしい。
オリンピックで優勝して流す涙。
結婚式や卒業式で流す涙。
外国人にはとても信じられないようだが
日本人は嬉しい時も悲しい時も感激した時も涙を流す。
ラテン系のカラリとした文化に涙が似合わないように
四季折々の風情を愛で、幽玄の侘び寂びの世界観を
文化とするウエットな日本人には
涙は欠かせないような気がする。
ある雑誌がアンケートをとったところ
女性が好む男性に「泣く男」が
ランクインしていたそうだ。
女の涙は武器。
男の涙も世界では認められなくても
少なくとも日本では最近
武器になりつつあるのだろうか。
我が家の夫。
感情失禁が生じたらしく
「水戸黄門」を観てそっと涙を拭いていたのを
私は見逃さなかった。
これは単なる「老いの涙」であって
「男の涙」には類しない。