スチュワーデス物語 Part3 面接開始
(昨日の空 街全体に靄がかかって夕陽は見えず)
いよいよ最後、日本航空の個人面接までこぎつけた。
広い、絨毯の敷き詰められた部屋に
一人
大きな扉を押して入って行った。
目の前には10人以上の面接官がずらり。
その人達の視線が一斉に私に集中した。
面接官としてそこにいたのか
何かのお手伝いでその部屋にいたのか
現役の制服姿のスチュワーデスも。
私から見れば大変大人びていて
女優のように華のある
それはそれは美しい人だった。
後に、JALの時刻表で彼女の顔を見た覚えがある。
昔は現役スチュワーデスが表紙を飾っていた。
彼女のような人は広報として、JALの顔として
様々な所で活動していたのだろう。
元若乃花夫人もフライトより主にモデルなど
広報の仕事をしていた、と聞いた事がある。
緊張の中、質問が始まった。
「今日は、どうやって来ましたか?」
「はい、電車で参りました。」
「一人で、来たんですか?」
「いいえ、母と参りました。」
「おかあさんと? ほう~おかあさんとですかぁ~」
皮肉を込めた言い方に聞こえたので
「いえ、私は一人で来ようと思っていましたが、母が、どんな人が受験に来るのか見てみ
たい、と興味津々で付いてきたものですから・・・」
「あ、そうですか。ハハハ・・・・・」
他の面接官も笑った。これで一気に私の緊張が取れた。
「家のトイレの掃除をしたこと、ありますか?」
「いいえ、あまりしたことありません・・・」と正直に答えた。
現在勤めている専門学校の生徒達の面接指導でもよく言うのだが
策を弄する者、策に溺れる・・
正直に話なさい。
正直に言えないようなことはしないこと。
言い間違ってもいい、流暢に話せなくてもいい。
その場でどれだけ真剣に一所懸命に素直に話すかの方が大事であって
きれいごとばかり並べても見抜かれるよ・・・と。
策を弄する者、策に溺れる・・
正直に話なさい。
正直に言えないようなことはしないこと。
言い間違ってもいい、流暢に話せなくてもいい。
その場でどれだけ真剣に一所懸命に素直に話すかの方が大事であって
きれいごとばかり並べても見抜かれるよ・・・と。
「スチュワーデスの仕事は汚いこともしなければなりませんよ。できますか?」
「はい!!どんなことでもします!今日から家のトイレ掃除もします!」と
こっちも必死だった。
それからは
「どうして、スチュワーデスになりたいのですか?」
お決まりの志望動機。
ここからは、今までの私の熱い思いを
自分なりの言葉で一生懸命に伝えた。
他にも様々な質問があったのだろうが
この三つの質問以外、記憶にない。
こうして、永くも短くも感じられた面接が終了した。
来週につづく・・。