スチュワーデス物語 Part6 予備訓練開始
(昨日の空)
予備訓練142期生として二ヶ月の訓練が
羽田の訓練センターで始まった。
(自宅待機中に読んでいた資料)
同期は22名でまずはスタートを切った。
そこには全日空の合格者の中にいた
ミス日本熊本代表、Kさんの姿も。
二人、顔を見合わせ「ニンマリ」
彼女も私と同じ全日空キャンセル組みだった。
手元に残っていた茶色に変色した資料によると
予備訓練は10月8日から始まっている。
終了は12月6日までの二ヶ月間。
英語の授業が中心でスケジュール表には
ENG(イングリッシュ)ばかりが続いている。
ところどころ「客室乗務員の職務」 「 言葉遣いの基礎」と言う文字もみえる。
他に「制服の採寸」 「茶道」 「体育」 「ビューティレッスン」
「AIR CRAFT」 「ROUTE INFORMATION (DOM・・・国内線の意) 」
「和装の着付け」などなど。
その間、ペーパーテストや英語の面接が挟まる。
着付けの授業では忘れられない少々嫌な思い出も・・・。
(インターネットより・・これは随分初期(昭和20~30年代?)のものと思われる)
着物が着られる嬉しさに、私は着付けをしながら
「月はお~ぼ~ろに、ひ~が~あし、や~ま~~~~ぁ♪」と
か~るく鼻歌を歌ってしまった。
この頃から嬉しいと知らず知らず鼻歌が出る癖があったようだ。
それを聞き逃さなかった年配の着付けの先生から
「だれですか~歌を歌っているのは~」とやんわり注意された。
それでとどめてくれていればいいものを
その先生、教官に報告。
教室に戻ると厳しい顔の教官が待ち受けていた。
我々142期生の男性教官、様々な逸話に彩られていた。
チーフパーサーとしては社内でも一二を争う名物教官。
このH教官から(エッチな教官ではありません・・・念のため)
「今日、授業中に歌を歌った者は誰だ!立て!」と一括。
逃げも隠れもできず「はい、私です・・・」とゆっくり立ち上がった。
その後えらいお説教を食らってしまった。
現在、教える身になってこの時の事をたまに思い出すが
私が着付けの先生だったら
担任に言う前に自分自身できちんと注意し
お説教の一つもしてそれで終ると思う。
何となく告げ口今の言葉でいうところの
チクルと言うような陰湿な感じがして
自分のやったことは棚にあげて言わせてもらえば
好きではない。
(私が甘すぎるのかなぁ~)
あれから数十年たったが
この鼻歌癖はどうも治りそうもない。
こうして基礎的な訓練を二ヶ月間みっちり受け
最終試験にも合格し次の専門訓練に入っていった。