母を訪ねて~3
去年の12月に母が入退院しあれから半年。
先週末に三重まで行ってきた。
今回は空路で。
モノレール~新幹線~地下鉄~飛行機~リムジンバス~近鉄
と乗り換えながら約五時間の旅だった。
駅には兄が出迎えてくれ桜並木の中を家へ向かう。
陽が傾き始め樹木の陰が長く伸びていた。
家の庭に咲く「えごの木」
すずらんに似た可憐な花々が下を向いて咲き
周りにはミツバチが羽音を立てていた。
兄嫁が手料理で歓迎してくれた。
ダイエットを始めたはずの夫は横で・・・・・・・・・・・。
主のいなくなった部屋に~。
35年前に亡くなった父の遺影が飾られていた。
文章を書くのが好きだった母の本棚。
奥には私が小学校6年の時に街の写真館で撮った
唯一の家族写真が飾られている。
この帽子、日頃かぶって散歩していたのだろう
形見に持ち帰った。
私が東南アジアでのフライトで買ってきた木彫りの人形と
二~三年前に書いたらしい母の書。
もう既に異常な行動をとっていた人でも
こうして書けるものなのかな~。
全ての記憶を失いながらここで何を思い
何を考えながら座っていたのだろう。
翌日母を見舞った。
まだニコニコ笑う表情は残っていたが
やはり最後まで私を分かってはくれなかった。
「あの、きかん気の強い末っ子で泣き虫だった私に可愛い孫が出来たのよ」
一番喜んでくれるはずだった母なのにね。
また会いに来るからね~
と握手した手はまだまだ力強かった。